『袖振り合うも多生の縁』愛ある言葉を贈り続けられる人間であろう

こんにちは。株式会社マイクレドの稲森愛弓です。

このコラムでは、『言葉がけ』による、人材育成のポイントを中心にお伝えしています。


先日、登壇させていただいた講演会で、こんなご質問をいただきました。

「学生アルバイトさんのような、期間限定の育成には、どのような想いで向き合っていますか?」

確かに。

アルバイトの学生さんなら通常、卒業と同時に就職なので、

お店も卒業(退職という言葉を使うのは寂しいので私はこう読んでいます)になります。

つまり、一緒に働けるのは限られた期間だけになります。

 

なので、学生さんと一緒にお仕事できる期間は、長くても4年間。

 

限られた期間の中で、私が彼らに教えてあげられることや

伝えたい想い・愛情は、もちろん沢山ありますし、

それらを惜しみなく与えることは、私自身の喜びでもあります。

 

だけど、ここで心得ておきたいのは、

相手は思考と感情を持った個々の人間であるということ。

 

ここを間違えて、全てを理解して受け止めてもらえると思っていると、

うまくいかないと感じる事が増えるでしょう。

 


 

私もスタッフの育成を始めて間もない頃は、

教えた事をなかなか覚えてもらえなかったり、

良かれと思って言った言葉が不本意に伝わって、

「なんで伝わらないんだろう?」

「なんでわかってもらえないんだろう?」

と、イライラしたり、落ち込んだりもしました。

 

こちらが120%心を開いて愛情を注いだとしても、

心をえぐられるような出来事も時にはあります。

 

それでも、お店を続けていくからには、

人との関わりを避けて通ることはできません。

それに、根本的な私の熱量もそう簡単には冷めませんでした。(笑)

 

そんな私が、結果がどうであれ、

必要以上に傷つかないためにたどり着いたのは、

 

「私が想いを伝える自由」を選ぶなら

「相手が受け取るも受け取らないも自由」に選んで良い。

ということ。

 

(今ではこんな風に考えられるようになりました)

 

 

私は、「人育て」には、長い長い時間がかかる事を

3人の凸凹な子育ての経験からよーく知っています。

 

個々のペースで、たとえ時間がかかったとしても

あらゆる困難を乗り越えて自分の力で育っていく様を、

ずっとそばで見てきたからです。

 

ですから、今やれることはあくまで、全て『種まき』だと思ってやっています。

この考え方を、人材育成にも当てはめてみるようになりました。

 

すぐに芽を出すこともあれば、伸び悩むこともあり、

卒業して社会に出てから大輪の花を咲かせることもあります。

当然、そのタイミングは人それぞれ。

 

だからこそ、普段みんなと交わしているたわいもない会話や、

1対1で語り合う深い対話も、全部、未来に繋がっていると思うと、

今この一瞬を丁寧に関わる事が、とても大切なんだと感じています。

 

丁寧に積み重ねた会話のひとつひとつは、彼らの中にちゃんと残っていて、

色んな人との関わりや体験を通して価値観を形どり、

生きていく力となり、自分の役割に気づいてくれる事を信じて

関わりを続けています。

 

「それじゃあ、自分やお店にとってメリットはあるの?」

そう思いますよね。

 

もちろんです。たっぷりありますよ!

 

つい先日も、元スタッフだったTくんが

「無性に食べたくなったんですー!」と言って、お店に顔を出してくれました。

 

そして、

「あゆみさんが話してくれたこと、今になってわかる事がめっちゃあります」

そう伝えてくれました。

 

「そうなん?話を覚えてるのすごいねー!それを素直に役立ててくれている事がめっちゃ嬉しいよー。またいつでも話しに来てね。」

 

ほんの数分間の会話でしたが、

仕事にやりがいを見つけ楽しく頑張っている様子が伝わってきました。

その振る舞いから、彼の成長を感じられ、とても嬉しく思いました。

 

同じ場所にいるだけで、こんな心が温まる出来事が、今では度々あります。

 

「あゆみさんに会いたくなってー」

「あゆみさんに聞いて欲しくてー」

「あの時のあの言葉があったから、頑張れた」

「あの時の経験で変わる事ができた」

 

そんな報告をもらうのは、私の喜び以外の何物でもないし、

そのたびに私の背筋はピンと伸びます。

 

そして、もらった言葉は私の元気の源となり、

今、目の前にいる人たちに注ぐエネルギーに変わります。

 

それから、彼らからの紹介で新しいアルバイトの子を

紹介してもらうこともあります。

 

私のことをよく知っている、信頼できる子からの紹介なので、

信頼関係も普通より早く築く事ができます。

 

私個人、イチ商店レベルだとこれくらいの小さな喜びだけど

もっと大きな目で見ると、社会や日本が豊かになるためには、

発想も思考も豊かで自立した人材が必要になってきます。

 

そう考えると、ご縁があるのは短い期間であったとしても

たっぷりの愛情に乗せて言葉を送り続ける人でありたいなと思うのです。

 

いますぐにわからなくても、伝わらなくても、

いつかのタイミングで思い出したり、何かの経験でハッとする。

 

そんな瞬間がきっとあるはずだから、

「君たちなら大丈夫」を、これからも私は信頼していきたい。

 

そんな想いで彼らに向き合っています。