当たり前の基準を変えることで、力を発揮できることもある!

こんにちは。長部愛です。

レディスアパレル会社での10年以上のマネージャー経験をもとに、女性スタッフとの関わり方についてのコラムを書いています。


本日もお読みいただきありがとうございます。

先週は 『働き方の選択肢』と、これからの会社やお店のあり方というコラムを書きました。

前記事:『働き方の選択肢』と、これからの会社やお店のあり方

 

実際に、働く環境は変わりつつあるということを書きましたが、この環境の変化を一番必要としていたのは、女性だらけの職場に居たわたし自身でした。

 

結婚、妊娠、出産、育児、介護、転勤、妊活。

スタッフは家庭の事情により、会社のルール、社会のシステムに合わなくなると、途端に役割がなくなってしまう。

週5フルタイム勤務、という条件をクリアできなければ、今までと同じ仕事はできない。

それが当たり前とされてきました。

でも、「週5フルタイム勤務」の条件ができる女性なんて、どれくらいいるのでしょう?

その当たり前の基準をちょっと変えてみると、もっと優秀な人材はわたしたちの周りにたくさんいるし、彼女たちは存分に力を発揮できるのに!と思っていたんです。

 

 リアルに起こった『働き方』のケース

前回は抽象的なお話になってしまったので、今回はもう少し具体的なお話をしていきますね。

わたしが担当していたママ向けブランドでの、2店舗の例をご紹介します。

 

【ケース1】

ある地域にとても優秀なマネージャー経験者がいました。

彼女には2人の小さい子供がおり、週末の出勤が厳しいということで、当時は一般スタッフとして時間短縮で勤務していました。

本人の希望もあったと思いますが、わたしからすると一般スタッフだなんてもったいない。あんなにマネジメント力があるのに・・・と残念に思っていたのです。

それまでだったら、『週末に出勤できないなら店長はできない』という暗黙のルールがありました。

でも、その地区で新規店立ち上げのときに、その地域のエリア長が、「彼女を店長に起用しようと思う」と言ってくれたんです。

店長が週末に出勤できないし、平日も17時には帰る。しかも、彼女以外スタッフは新人社員とアルバイトばかり。

なかなか厳しい条件でしたが、わたしは彼女の店長就任に大賛成でした。

 

ただ、懸念が一つ。

それでは動員の多い土日の売り上げが見込めないこと。

 

そこで、彼女が店長を引き受けてくれた時に、約束をしたんです。

『土日の動員に頼らない。平日で売り上げをつくる店舗にすること』

日割り予算に左右されずに年間予算が取れれば、それでよし。

それから店長は、自分の出勤する平日に合わせて集客し、土日は自分がいなくてもお店が回るようにと工夫しました。

 

ブランドフェアをするにしても、自分で計画して、スタート日を本部に交渉してくるようになりました。

彼女の本気さを感じて、本部としては彼女の言う通りにサポートし続けました。

店長はスタッフに直接指導の時間がなくても、LINEなどでコミュニケーションを欠かさなかったので、面白いようにどんどん成長したんです。

スタッフは、キャリアや雇用形態に関係なく責任ある仕事をどんどん任される、というのも良かったみたいですね。

顧客0の新規店舗のスタートから二年間、新人社員と派遣・アルバイトの体制で月予算を達成し続ける店舗になりました。

 

【ケース2】

新規店舗立ち上げの時のメンバーは男性店長が一人に対して、スタッフは全てアルバイトのママさんたち。

おまけに全員が接客未経験でした。

(こう書くとよく成立したなと思いますが、こういった状況のお店は多いですよね)

・平日3日で14時まで勤務

・週3日で16時まで勤務

・平日18時以降〜閉店まで

などなど、こんな条件のスタッフの集まりでした。

それを店長がパズルのようにシフトを組んで、なんとか運営していたんです。

店長もスタッフも全員がいつもカツカツでした。

でも、わたしが一緒にお店に立って一人一人と話すと、スタッフたちは「私のような条件でも働き続けさせてもらえて嬉しいです!」と言ってくれるんです!

 

「通勤している時が唯一ひとりになれる時間で、それが楽しみです」

「毎日お化粧したり、いろんな人と話せて楽しいですよ」

「できなかったことができるようになるって嬉しいですよね」

 

 

そんな風に、家庭だけでは得られないやりがいを嬉しそうに話してくれてました。

 

他には、家庭での経験をフルに活用してくれていたこと。

接客は未経験でも、ママ流のコミニュケーション術でお客様とどんどん仲良くなるんですよね。販売の経験は浅くても、同じ母親としての立場で共感するので親しみが増すようでした。

そして、裏側の作業では全員が気を利かせあって、短時間の中でいくつもの内容を並行してやる。

誰かのミスを「まあ、仕方ないですよね」と良い意味で諦めてくれる器の大きさ。暇が無いので、愚痴らない。笑

彼女たちのタイムマネジメントとマルチタスクぶりにわたしは驚きました。

この優れた能力が日本中の家庭に収まってるなんてもったいない!と強く思ったものです。

欲しい未来をつくる

今回はわかりやすいように、家庭を持つ女性たちの働き方についてお話ししました。

わたしがたくさん見てきた女性スタッフの中で、彼女たちは結婚して子供もいて、限られた条件下で自分たちの能力を最大に発揮していたと思うからです。

 

もちろん両ケースともに、トラブルもたくさんありました。

従来通りにはいかないことがいろいろとありました。

しかし、同時に多くの気づきをもらえました。

「こんなわたしにでも雇ってくれてありがとうございます」

「こんなわたしにこの役割を与えてもらえて嬉しいです」

こんなことを言われるなんて思っていませんでしたからね。

荒削りでも新しく挑戦したからこそ、これからの新しい会社のあり方や働き方が見えました。

未来は暗いばかりでは無いし、希望はあると思えたんですよね。

なんでもやってみないとわからない!

なので、あのとき踏み切ってくれたエリア長と頑張ってくれた現場スタッフたちには今でも感謝しています。

 

ケース1の店長は、期待以上の成績で、とても良い前例になってくれたと今でも思います。

きっと、彼女と共に働いてたスタッフは

「結婚しても働けるんだ」

「子供がいても働けるんだ」

「週末に出勤できなくても接客業できるんだ」

 

と少しは感じてくれたんじゃないでしょうか。

 

もちろん、結婚して子供がいても週末に出勤できる女性もたくさんいらっしゃいます。ご家族の理解や協力を得られるとそういうこともあると思うんです。

でもなかなかそこのハードルは高い。(とくに首都圏在住者は)

 

それならば、大切で有能なスタッフを活かす道として、会社としても当たり前を一度なくしてみることも選択肢のひとつに加えてもいいかもしれません。

「できないからやらせない」ではなく、「できないならできるように」他のやり方をつくる。

それが今までの「当たり前」を崩すことだとしても。

 

わたしの好きな言葉に「欲しい未来は、自分でつくる」というのがあります。

女性は特にライフステージがコロコロ変わります。

その度に、仕組みに合わせて仕事も働き方も変えざるをえなかった。

そんな人たちが、同じ職場にいてもライフステージに合わせた働き方や仕組みを自分でつくれる。

そうなれば、後に続く世代も「この会社に入りたい!」「この会社に居たい!」と安心して働けるようになるとわたしは感じています。

それが、女性に限らず今は十分に発揮できていない優秀な才能を発掘し、優秀な彼ら彼女らを社会に活かす機会になると思うのです。

そんな柔軟な会社、職場が日本中に増えることを願っています。