人手不足の中でも、人材に成長してもらうための方法

こんにちは。

接客販売トレーニング&コンサルティングkocori(ここり)の坂本りゅういちです。

普段、接客販売員育成を主な活動としている私ですので、当コラムでは、スタッフが辞めずに成長をしていける仕組みづくりをメインとしてお話をしています。


今回のコラムでは、原点に立ち返り、『人材がきちんと育つためには何が必要なのか?』という点についてお伝えしたいと思います。

この『きちんと』というところがポイントで、お店で働いてくれるスタッフの人たちには、ただ辞めずに残り続けてもらうだけではなくて、しっかりと売上を上げてくれるスタッフになってもらいたいですし、お客様に愛されるスタッフであり続けてもらいたいですよね。

『きちんと』育ってもらうために

そういう意味での『きちんと』育ってもらうための方法として、私が推進しているのが、接客・販売に関するトレーニングです。

どんな仕事でも、練習なしですぐに誰もが成果をあげられるものではありません。

よほど天才的な人がいればまだしも、特に未経験の人にとっては、初めて取り組む仕事は難しいものです。ですから、正しく成果をあげてもらうためにも、まずはトレーニング(練習)を行なって、慣れてもらう、やり方を知ってもらうことは欠かせませんよね。

特に、販売においては、お客様に対して、商品の提案をするという前提があるのですから、ある程度の知識や商品の取り扱い方などは心得ていないと、正しい商品提案もできません。だから、お客様を接客する前には、多少なりとも練習をしてから、本番の接客に臨める状態を作ることが理想です。

 

ただ、こういう話をすると必ず上がってくる意見があります。

「人が足りないから、練習をする余裕がない」という意見です。

 

いや、これはもう本当によくわかります。

販売における練習と言いますと、販売ロールプレイングなどが最もわかりやすいとは思いますが、これも、ロールプレイのための時間を割いて取り組む必要があります。

ですが、そもそも人手不足という問題があるので、なかなか時間を作るのが難しいというのが現実なんですよね。(時間を作るのが面倒だからやらない、というのは全然別の話です)

 

それは本当に大丈夫なのか?

とはいえ、人が足りないからと練習する時間を全く取らないままでは、新人スタッフは育ってくれません。

「見てれば大丈夫」とか、「実際にお客様を接客すれば大丈夫」という人がいますが、これは嘘です。

「見てれば大丈夫」な人も確かにいなくはありません。しかし、これは、相手の意欲や素養に左右されるものです。

上司や先輩がやっていることを見て、勝手に学んで自分のものにしてくれる人もいますが、それは教育ではなくて、ただ放ったらかしてその人の能力に任せているだけでしかありません。

上司(教育者)としては、残念ながらNGです。

 

また「実際にお客様を接客すれば大丈夫」という意見もあまり感心できません。

これも上記同様で、個人の資質に応じて能力の伸びが変わりますし、何より、お客様が練習台になってしまうことなので、非常に危険です。

お客様と販売員が触れ合う機会は、常に一回ずつが重要です。販売員側からすれば、何百回人も接客する中のたった一人かもしれませんが、お客様にとっては、その一回が全てです。そんなタイミングで、何の教育もされていないスタッフが接客をして、お客様の満足度が下がってしまえば、店にとってもお客様にとっても、決して良い結果は生まれません。

だからこそ、事前にある程度、接客ができる状態を作っておくことは、店に取ってもお客様にとっても重要なことなんですね。

 

人手が足りないなら、どうするか?

お客様に素人同然の状態で接客に入るのは良くない。

でも、練習をするのにも人手が足りずになかなかうまくやれない。

それなら、どうすれば良いのかという話になりますよね。そんなジレンマを抱えている店長は少なくないことでしょう。

 

そこで必要なのが、通常業務の中で成長してもらえるやり方を考えることです。練習のみを行う時間が取れなかったとしても、通常業務をやってもらいながら、接客の練習ができるとしたら、練習不足のまま接客をすることも、人手が足りず練習ができないことも、どちらの問題も解決ができます。

 

その方法は、お店によって、人員や商品によっても変わるとは思います。ですが、せっかくの機会なので、いくつかの例はお伝えしておきたいところです。

これまで関わってきたお店の中で、興味深い例をお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1)書き出しトレーニング

『練習をする時間が取れない』というのは、教育者(店長や先輩、上司)と教育を受ける側(新人スタッフ)、両方の時間を調整することが難しい場合がほとんどです。

こういう場合は、新人スタッフさんだけでも成長してもらえる方法を考えることになるのですが、ここでお勧めしたいのが、書き出しのトレーニング。つまり、新人スタッフさんに、ノートでもなんでも良いので、成長してもらいたいことについて書き出しをしてもらうということです。

例えばよくありがちなのが、お客様へのお声がけ

「お客様にどう声をかければいいかわからない」というスタッフさんは多いのですが、それはそもそも、なんと声をかけるのかが、頭の中で整理できていないことがほとんどです。声掛けのバリエーションが少なすぎて、「何かお探しですか?」くらいしか言えることがなく、お客様に無視をされて、声をかけるのが難しくなっているのですね。

だったら、まずは、新人スタッフさん自身に声掛けのバリエーションを増やしてもらうために、実際に書き出してもらいます。

「何かお探しですか?」だけではなく、どんな声掛けができるかを考えて、書き出すことで、頭の中に引き出し(ストック)が生まれて、実際の接客にも活かせるようになります。

ポイントは、ある程度の数を設定して、無理矢理にでも出してみることです。

「とりあえず思いつくだけ書いて」ではなくて、「10個書き出してみようか」みたいに数を決めてしまうことで、たとえ出てこなくても、少なくともその数までは書き出す必要が出てくるので、ものすごく頭を使って考えたり、自分で調べて書くことになります。

それ自体もトレーニングになるので、自然と成長していってくれるのです。声掛けだけではなく、他のいろんな接客の要素についても、有効です。

 

2)チェックシート

チェックシートはとても有効な手段だと言えます。

何についてのチェックシートかは、その場その場で変わりますが、重要なのは、その運用方法です。

例えば、接客全体の要素をステップごとに分けたチェックシートを使うとしましょう。

『声掛け』『商品説明』『提案』『ヒアリング』『クロージング』など、いろんな要素が接客には含まれていますよね。

それができているかどうかをチェックすることになるのですが、より効果を上げるためには、まずスタッフさん自身に自己評価をしてもらいます。

できたと思うことにはできたと評価してもらい、できなかったことはできなかったと評価をしてもらうわけです。

そして同時に、「なぜそう感じるのか?」を、できるだけ具体的に評価してもらいます。

ただ単にできたかどうかを確認するのではなくて、『声掛け』ができたというのであれば、その理由は何かまで考えてもらうのですね。

そこまでできたら、今度は教育者の評価をします。

できていると思うなら、できている、できていないと思うのならできていないという評価をします。そしてこちらも同様に、なぜそう感じるのかを具体的に教えてあげます。いわゆる『ふりかえり』というやつです。

ここからがポイントで、このふりかえりで、できていないことに関しては、単にダメ出しをするのではなく、どうすればできるようになるかを、具体性を持って伝えてあげることが大事です。

最初から、自分で考えて行動ができるスタッフさんならば良いのですが、基本的にほとんどの人はそう上手くはいきません。

ですが、解決策をしっかり教えてあげると、やり方がわかるので、「こうすれば良くなるんだ」ということがわかり、また自分で行動して振り返るという流れが作れます。

最悪なのは、できなかったことに対して、「これはできていないからダメ」とダメ出しだけで終わって、解決策を示してあげないことです。そうなると、スタッフさんは解決策も見えず、どんどんモチベーションが下がり、最終的には退職の道を選んでしまう人もいます。ここは本当に要注意ですね。

 


上記はあくまでもほんの一例ですが、人手が足りない中でもしっかりトレーニングをして、スタッフさんに成長してもらう方法はたくさんあります。

その仕組みを考え作り出すこともまた、上司の仕事と言えるかもしれません。

少しでも参考になれば幸いです。