【実録「やめない店は、こうつくる!」EPISODE4】

「ねぎらい」(無条件の感謝と、存在の承認)で、「やめない風土と仕組みづくり」を推進する、ねぎらいカンパニーの兼重です。

 

本日もご訪問いただき、ありがとうございます。

 

【実録「やめない店は、こうつくる!」】、4話目をお届けします。

【あらすじ】

 

ある企業様との約3年に渡る「やめない店プロジェクト」。

「ねぎらい」のない風土に、店長や、スタッフが次々と辞めていた。誰もが、「自分はこの会社に必要とされていない」と感じながら仕事をしている実態が明らかになり、筆者である講師から、本部に2つのことを依頼する。一つは、研修が始まる前に、マネージャーから5人の店長宛てに「ねぎらいレター」を贈ってもらうこと。もう一つは……?

 

【実録「やめない店は、こうつくる!」EPISODE4】

【大切にしたいことを、共有する】

 

「よろしくお願いします!…で、あともう一つ、お願い事があるんです」

 

女性マネージャーの、『え…、今度は何をやらされるんだろう……』という心の声が、その表情から見て取れた。

 

「最初の研修で、御社の“10か条”を決めたいのです」

 

ーー10か条ーー。

「マインドルール」とも言う。共に働くチームとして「どんなことを大切にするのか?」「大切なことを大切にするためは、一人一人がどう行動すればいいのか?」を明文化したものだ。

よく、「クレド」や「スタッフミッション」というかたちで「行動指針」を明確にしている企業も多い。もちろん、それも大切だ。が「クレド」はどちらかというと、「お客様との約束事」を記したもの、と言えるだろう。

しかし、お客様への対応を考える前に、この会社には先にすべきことがあった。

 

本部と、現場の信頼関係を取り戻すこと、だ。

 

そのために、必要なことは、まずは本部が先に「現場に歩み寄る行動」を見せることなのだ。

 

私は、女性マネージャーに尋ねた。

 

「例えば、、、本部の皆さんが、現場の皆さんと関わる上で、普段どんなことを大切にされてますか?」

 

「大切にしてること、、、ですか?」

彼女は考え込む。

 

「あまり考えたことないですね……」

 

「すみません、、、抽象的な質問でしたね。恐らく、本部の皆さんも、それぞれ店長さんと話す時などは、こんな風に関わろう、こんなことを伝えよう、と無意識に思いながら関わって下さっていると思います。でも、それが、人によってバラバラだったり、状況によって変わってしまったりすると、“本部って何考えてるかわからない”と、不平や不満の要因になってしまいます。この機会に、御社として、人と関わるときの「マインドルール」や「コミュニケーションルール」を明確にしませんか?」

 

私は一枚の紙を、鞄から取り出した。

「大変僭越なんですが、、、これは、弊社の10か条、です。ちょっとご参考までに、見て頂いてもいいですか?」

 

 

【ねぎらいカンパニーの10か条】

1.出会う全ての方々に、感謝とねぎらいの気持ちで関わる

 

2.目の前の人の「幸せ」のために、自分に何ができるか常に考えて動く

 

3.人の悪口&陰口は言わない

 

4.相手の可能性を信じる

 

5.チームを信頼し、周りを頼る

 

6.仲間を応援し、社会に貢献する

 

7.家族との時間を大切にする

 

8.チームとの時間を大切にする

 

9.常に実践者である

 

10.相手は鏡。鏡は先に笑わない

 

これは、共に働くチームメンバーに共有している「弊社の10か条」であり、自分とチームとの約束事、でもある。

「10か条」をつくり始めてから、

「私たちは、何を大切にしているチームなのか?」

「大切なことを、大切にするためには、どんな行動をとったらいいのか?」

が明確になり、言動にブレがなくなった。

 

「こういうの、、、初めて見ました」

女性マネージャーが、つぶやく。

 

「そうですね、、、こういう方法で、「マインド」の共有をしている企業さんは、まだまだ少ないかもしれません。対お客様への関わり方は、「クレド」とか、「接客マニュアル」のようなかたちで明文化しているのに、スタッフ同士はどうやって関わったらいいか?は、なかなか明確にしていないんですよね。でも、お店で起こる問題のほとんどは、その関わり方が原因で起きてます。本部と、現場の関係性も、そうですよね」

 

女性マネージャーが、大きく頷く。

 

「本当にそうですね、、、。関わり方のルール、、、なんて、考えたこともなかったけど、一番大切なことかもしれませんね」

 

「はい、今度の研修では、店長さんからも「スタッフと関わる上で大切にしていること」を引き出しながら、それらをまとめて「10か条」というかたちにしていきたいと思っています。その際、本部の皆さんにも、「現場と関わる上で大切にしたいこと」をまとめて頂きたいんです。できれば、事前に、皆さんでこのことについて、話し合っておいていただきたいのです。

それを考えて頂くことで、きっと”本部の役割“や、”現場が本部に求めていること“なども、見えてくるのでは、と思います」

 

「わかりました。そうですね、、、こういうこと、これまで話し合ったことなかったので、、、。

はい、まずは、わたしたちから、ですよね」

 

ようやく、彼女の笑顔が見れた。

 

つづく

 

【今日のポイント】

 

皆さんのお店や、会社には、どんなルールがありますか?

業務上のルールから、お客様対応のルール、労務上のルール、などもありますね。

ルールを更に「行動」レベルに落とし込んだものを「マニュアル」と言います。

皆さんのお店にも、たくさんあるのではないでしょうか?

 

以前、長らく日本マクドナルド社でエリアマネージャーをしていた女性から、こんな話を聞いたことがあります。

マクドナルドと言えば、世界屈指の優れた「マニュアル」を有する企業。しかし、そんな世界基準の素晴らしい育成マニュアルを使っても、「人が育つ店」と、「すぐに辞めてしまう店」が、やはり存在しているそう。つまり、

どんなに優れた“やり方”があっても、問われているのは、それを使う人間の“あり方”である

ということ、です。

 

皆さんも、「この上司の言うことは納得できるんだけど、こっちの上司の話は、なんだかムカつく」と、感じたことはありませんか?

同じ内容を伝えられても、その上司の「あり方」によって、受け取り方が違うのです。

 

これは、上司にとって最も重要なことだと思うのですが、なかなかその「あり方」を「ルール化」している企業は、本文で述べた通り、まだまだ少ないように感じています。

 

それを、明文化するのが今回ご紹介した、「10か条」です。

10か条は、働く上で、また、人と関わる上で、「自分が大切にしたいこと」を、それぞれ出し合いながら、「チームとして大切にしたいこと」にまとめていきます。

どちらかというと、「10か条を決める」こと自体が目的なのではなく、これをつくる上で、

「自分が大切にしたいことは何だろう」を考えることだったり、チームメンバーの大切にしたいことを共有し、相互理解を深めることが、とても重要だと考えています。

 

例えば、弊社の例で言うと、第一条にはもちろん、これを挙げています。

 

――出会う全ての方々に、感謝とねぎらいの気持ちで関わる――

 

「ねぎらいカンパニー」ですからね、ここは譲れません(笑)。

 

これを「絵に描いた餅」にしないために、例えば、こんなことを実践しています。


*人に出会うとき、心の中で

「出会っていただき、ありがとうございます」「いつもありがとうございます」

とつぶやく

 

*必ず敬語で話す(自分の子どもくらいの年代の若いスタッフさんにも)

 

*「お疲れ様です」「お陰様です」などの、「ねぎらいことば」を使う

 

*相手の話を、全身で聴く


そうした「行動」の一つ一つが、その人の「あり方」を決めていくのだと思います。

 

せっかくの機会なので、皆さんも、ご自身の「10か条」を考えてみませんか?

 

仕事をする上で、どんなことを大切にしていますか?

どうしても譲れないことはなんですか?

人との関わりの中で、大切にしたいことは何ですか?

あなたの信条はなんですか?

 

考え、言葉にしていくと、自分の中に、何か「軸」のようなものが生まれてきます。

誰が何と言おうが、揺るがない「軸」。

それをぶらさずに貫き、行動にしていくことでしか、人からの「信頼」は得られなではないでしょうか?

 

本部と現場の信頼関係を取り戻すために、まずは、ここからスタートすることにしたのです。

 

さて、この会社の10か条は、どんなものになっていくのでしょうか?

 

次回をお楽しみに!